小樽市の脳神経外科|医療法人小樽セントラルクリニック
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自宅の玄関先で、車の鍵を手にした高齢の父と成人の娘が穏やかに話している水彩画

高齢のご家族の運転 〜認知症と運転免許〜

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はじめに

「親の運転がこの頃、少しあやしい気がする」。 そんな心配を抱えるご家族が増えています。 一方で、車は生活の足であり、ご本人の自立や尊厳にも関わる大切な道具です。 無理に取り上げるのではなく、安全とご本人の気持ちの両方を大事にしたい。 本記事では、認知機能と運転の関係、制度の概要、ご家庭でできる関わり方を整理します。

この記事でわかること

  • 運転にはどんな認知機能(記憶や判断する力)が必要か
  • 75歳以上の運転免許更新で行われる検査の概要
  • 家族でできるヒヤリハットの記録と話し合いのコツ

高齢ドライバーをめぐる現状

75歳以上の運転免許保有者数は、近年増えてきています。 高齢になると、夜間や交差点での事故、ペダルの踏み間違いなど、特有の傾向があると報告されています。 ただ、年齢だけで運転の可否を決めることはできません。 体調や認知機能、生活環境を含めた総合的な見方が大切とされています。

運転に必要な認知機能

安全運転には、いくつもの脳の働きが同時に求められます。

  • 注意の分配(複数のことに気を配る力)
  • 判断(状況に応じた選択をする力)
  • 記憶(道順や標識を覚えておく力)
  • 視空間認知(距離や位置をつかむ力)
  • 反応速度(とっさに動く力)

加齢でこれらの一部が少しずつゆるやかに変化することがあります。 認知症やMCI(軽度認知障害:日常生活はおおむね保たれているが認知機能の低下が見られる状態)では、より影響が出やすいと報告されています。 ただしMCI段階での運転については議論があり、一律ではなく個別の評価が大切とされています。

認知症と運転免許の制度

道路交通法では、認知症と診断された方の運転免許は、取消しや停止の対象となる場合があります。 個別の判断は、警察・公安委員会・主治医の役割です。 75歳以上の方が免許を更新する際には、次のような仕組みがあります。

  • 認知機能検査(記憶や判断する力を簡単に測る検査)の実施
  • 一定の違反歴がある方への運転技能検査
  • 検査結果に応じて医師の診断書を求められる場合がある
  • サポートカー限定免許(自動ブレーキなどの安全運転支援装置がついた車に限る免許)といった選択肢

制度の細かな運用や対象は変わることがあります。 最新の内容は、免許更新のご案内や運転免許センターの窓口でご確認ください。

ご家庭でできること

1. ヒヤリハットを書きとめる

「車庫入れでこすった」「信号を見落とした」「目的地を間違えた」。 そうした出来事を、責めずに記録するだけで構いません。 回数や状況を一覧にすると、ご本人にも変化が伝わりやすくなります。

2. 頭ごなしに否定しない

運転は、長年の習慣であり誇りでもあります。 「危ないからやめて」だけでは、心を閉ざしてしまいがちです。 「同乗するとき少し怖く感じるときがある」と気持ちを伝え、 ご本人の不安にも耳を傾けてみてください。

3. 主治医や専門医に相談する

ご家族だけで抱え込まなくて大丈夫です。 かかりつけ医や物忘れ外来で、認知機能の評価や生活への助言を受けられます。 必要に応じて、診断書の作成やご本人への説明をお願いできる場合もあります。

4. 代替手段を一緒に考える

  • 路線バスやJR、コミュニティバス
  • タクシーや乗合サービスの利用
  • 通販・宅配、移動販売
  • ご家族や近所の方の協力
  • 地域包括支援センターへの相談

小樽や周辺地域では、坂道や冬の凍結路面、降雪による視界不良も大きな負担です。 公共交通の便が限られる地区もあります。 免許の継続・返納にかかわらず、早めに代替手段を整えておくと安心です。

免許返納を考えるときに

返納には、事故のリスクを下げ、ご家族の不安が和らぐといった面があります。 一方で、外出機会の減少や気分の落ち込みにつながる場合もあると指摘されています。 良い面・気がかりな面を一緒に並べ、家族会議でゆっくり話し合うことをおすすめします。

受診の目安

次のようなことが増えてきたら、一度ご相談ください。

  • 軽い接触事故や違反が立て続いている
  • 道に迷うことが増え、目的地を間違える
  • ご家族が同乗していて怖いと感じる場面がある
  • ご本人自身が「最近運転に自信がない」と話す

当院でのサポート

当院では「頭痛・物忘れ相談外来」として、もの忘れや認知機能のご相談をお受けしています。 運転についての一律の判断は行いませんが、認知機能の評価や生活面の助言、 必要に応じた専門医療機関へのご紹介を通じて、ご本人とご家族の話し合いをお手伝いします。 認知症については認知症の診療について、ご家族の関わり方はご家族の方へもあわせてご覧ください。

まとめ

運転の問題は、ご本人の安全と尊厳の両方に関わる大切なテーマです。 ご家族だけで結論を出さず、医療や地域の支えも借りながら、一緒に考えていきましょう。 気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療については医師の診察をお受けください。