小樽市の脳神経外科|医療法人小樽セントラルクリニック
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買い物の途中、商店街のベンチで高齢の女性がひと休みしている水彩画

腰部脊柱管狭窄症 〜歩くと足が痛くなる病気〜

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はじめに

「買い物の途中で足がしびれて、ベンチで休まないと歩けない」 「前かがみになると、また歩けるようになる」 「自転車だと不思議と平気なのに、歩くとつらい」

こうしたお悩みは、ご高齢の方にとても多く聞かれます。 その背景に、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という病気が隠れていることがあります。 高齢者に多い病気ですが、保存療法で楽になる方も少なくありません。 今回はその特徴と、暮らしの中の工夫を一緒に見ていきましょう。

この記事でわかること

  • 腰部脊柱管狭窄症はどのように起こる病気か
  • 「歩くと痛い、休むと歩ける」症状の見分け方
  • 治療の選択肢と、日常生活でできる工夫

腰部脊柱管狭窄症とはどのような病気か

背骨の中には脊柱管(せきちゅうかん:背骨の中を通る神経の通り道)があります。 ここを通る神経が、手足の動きや感覚を支えています。

加齢とともに、腰の部分では次のような変化が起こります。

  • 椎間板(背骨の間のクッション)が膨らむ
  • 椎間関節(背骨をつなぐ関節)が大きくなる
  • 黄色靭帯(背骨の後ろの靭帯)が厚くなる

これらが重なると、神経の通り道が狭くなります。 そして馬尾神経(ばびしんけい:腰から下を支配する神経の束)や神経の根もとが圧迫されるのです。 これが腰部脊柱管狭窄症です。 60歳以上の方に多く、加齢が主な原因とされています(腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021)。

「歩くと痛い、休むと歩ける」が典型的なサイン

腰部脊柱管狭窄症に特徴的な間欠性跛行の流れを、歩き始め・しばらく歩く・前かがみで休む・また歩ける の4段階で示した図

最も特徴的な症状は間欠性跛行(かんけつせいはこう:歩くと足が痛くなり、休むとまた歩ける症状)です。 次のような流れで現れます。

  1. 歩き始めはあまり症状がない
  2. しばらく歩くと、お尻や太もも、ふくらはぎがしびれる・痛む・力が入りにくくなる
  3. しゃがんだり前かがみで休むと、数分で楽になる
  4. また歩けるようになる

腰を反らすと脊柱管がさらに狭くなり、前かがみになると広がります。 そのため、立ち姿勢や歩行で症状が出やすく、座ったり前屈みになると楽になるのです。

自転車では症状が出にくいのも、この病気の特徴です。 自然と前かがみの姿勢になるためです。 スーパーでショッピングカートを押すと長く歩けるのも、同じ理由です。

そのほかに、こうした症状もみられます。

  • 下肢のしびれ・感覚の低下
  • 足に力が入りにくい
  • 長く立っていると腰やお尻が重だるい

すぐに受診が必要なサイン

ごくまれですが、神経の束が強く圧迫されると馬尾症候群(ばびしょうこうぐん:神経の束が強く圧迫されて起こる重い症状)が起こることがあります。 次のような症状は緊急受診の対象です。

  • 急に両足の力が入らなくなった
  • 尿が出ない、または失禁してしまう
  • お尻や陰部のあたりの感覚が鈍い

迷わず救急受診をご検討ください。

似た病気との見分け

足の痛みやしびれを起こす病気は他にもあります。 代表的なものは閉塞性動脈硬化症(足の血流が悪くなる病気)です。 こちらは自転車でも症状が出やすく、足の脈が触れにくいなどの違いがあります。 糖尿病による神経障害、腰椎椎間板ヘルニア、変形性股関節症との見分けも大切です。 診察と画像検査で慎重に判断していきます。

検査について

まずは神経の働きを丁寧に確認します。 そのうえで、必要に応じて次の検査が行われます。

  • 腰椎MRI検査(強い磁石を使った画像検査):神経の圧迫の程度を評価
  • 腰椎X線検査:背骨の並びや変形を評価
  • CT検査:骨の変形を詳しく見るときに追加で行うことがあります

治療の考え方

治療はまず保存療法から始めるのが基本です(腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021)。

保存療法

  • 薬物療法:神経障害性疼痛治療薬、消炎鎮痛薬、血流を改善するプロスタグランジン製剤など
  • 神経ブロック:硬膜外ブロックなどで痛みをやわらげる
  • リハビリテーション:体幹や下肢の筋力訓練、歩行指導
  • 装具療法:腰の負担を減らすコルセットの一時使用

手術療法

次のような場合に検討されます。

  • 保存療法を3〜6か月続けても改善が乏しい
  • 日常生活への支障が大きい
  • 馬尾症候群が疑われる場合(緊急的に検討)

代表的な手術には、神経の通り道を広げる除圧術があります。 背骨の不安定さがある場合には、固定術を組み合わせることもあります。 手術で歩ける距離が伸びたという報告もありますが、すべての方に手術が必要なわけではありません。 症状・年齢・全身状態をふまえ、ご本人やご家族と相談しながら決めていきます。

受診の目安・ご家庭でできること

次のような状態が続いている方は、一度ご相談ください。

  • 歩いていると足がしびれて、休まないと歩けない
  • 前かがみになると楽になる
  • 下肢のしびれが日常生活を妨げている

ご家庭では、次のような工夫がすすめられます。

  • 前かがみで休みながら歩く:シルバーカーやカートの活用も有効です
  • 自転車や水中歩行を取り入れる:腰に負担をかけずに運動できます
  • 体幹と下肢の筋力を保つ:椅子からの立ち上がり運動など、無理のない範囲で
  • 重い物を腰に負担のかかる姿勢で持ち上げない

冬の小樽では路面が凍る季節もあります。 無理をせず、こまめに休みながら歩く習慣を大切にしてください。

当院でのサポート

当院では、脳神経外科の視点から、足のしびれや歩行の変化のご相談をお受けしています。 神経学的診察に加え、必要に応じて腰椎MRIなどの画像検査の手配や、専門医療機関と連携した精密検査のご案内もご相談いただけます。 「年のせい」と決めつける前に、お気軽にお声かけください。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症は、歩くと足がしびれ、休むとまた歩けることが特徴の病気です。 保存療法で楽になる方も多く、生活の工夫で歩ける距離を保つこともできます。 気になる症状がある方は、一人で悩まずご相談ください。


※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の診断・治療については医師の診察をお受けください。